「単に3大都市圏を結ぶだけでなく、東京から大阪にかけて回廊になっている東海道沿いの地域を、いわば『東海道メガロポリス』として経済的に統合する役割も果たしたと思う。航空機はあくまで点と点を結んでいるだけで、その間に散らばる各都市はスキップされている。現在、日本には20の政令指定都市があるが、このうち東海道新幹線の沿線に7市があり、周辺を含めると12市になる。経済的な観点では、日本の人口や国内総生産(GDP)の相当な割合をこの地域が占めている。東海道新幹線の使命は開業当初も、国鉄からJR東海が承継したときも、日本の大動脈であり、今日になってその重みはさらに増している」
品川駅建設をリード
《JR東海の発足と同時に取締役総合企画本部本部長に就任。以後、東海道新幹線の機能強化に尽力した。新型車両の導入や最高時速270キロ化、『のぞみ』の営業運転開始をはじめ、輸送力増強に向けた新幹線品川駅の建設をリードした》
「東海道新幹線の機能が飛躍的に高まったのは、JR東海の発足以降の27年間だ。この間の東海道新幹線の設備投資は約3兆円にのぼる。JR東海が東海道新幹線を引き継いだのは開業23年を経た段階であり、若返らせるための対策を早期に打たねばならないと考え、会社を挙げて取り組んだ。また、車両の軽量化や省エネ化、最高時速の引き上げ、食堂車の廃止などの取り組みも相次いで打ち出した」