余儀なくされた値上げ
こういった動きが背景にある中で、牛丼の値上げを余儀なくされたのも事実だ。値上げの最大の理由は、牛肉の国際相場の上昇など、「原材料価格の上昇に対応する」(小川会長兼社長)ためだが、ワンオペをやめる中で、人件費の急増が予想される中で、牛丼並盛りを本体価格250円、税込みで270円を維持するのは難しくなっているからだ。
牛丼は値上げをした後でも、業界最安値で優位性はあるとみているが、最悪の場合、5%の客数減も想定する。それでも値上げはさけられなくなっているなど、人手不足問題、そしてワンオペ解消が、小川会長兼社長が最もこだわってきた牛丼の値段にも反映したことを証明するものだ。
今後の焦点は、こういった取り組みがゼンショーについた“ブラック企業”の汚名をそそげるかだ。
小川会長兼社長は、「ブラック企業という言い方には生理的な嫌悪感がある。当然そう呼ばれれば悔しい思いをする」と表情をゆがめながら語る。