ただでさえ、店員の負担が大きいうえ、今年2月に調理の手間がかかる鍋メニューを発売すると、不満を募らせたアルバイトらが続々と退職。人手不足で営業を休止・短縮した店が100店舗を超えた。このためゼンショーHDは4月に久保利英明弁護士を委員長とする第三者委を設け、調査に乗り出していた。
この調査で明らかになったのは、人手不足に悩む現場の声に耳を傾けることなく、新規出店を通じて利益追求に走る経営陣の姿だった。
第三者委の報告書は「現場に『無理』をさせない限り、運営できないことは明らかだった」と、違法状態にあったと認定。さらに、「現場に対するケアは二の次となっており、危機意識をもつ経営幹部が不在だった」と、過重労働を是正できなかったのは組織的な問題だったとも指摘した。
そもそも、すき家では数年前から、ワンオペとなる深夜時間帯を狙った強盗事件が頻発し、経営側もワンオペの見直しなどの対応に乗り出す方針を打ち出していた。にもかかわらず第三者委の報告書によると、実際は「警察から言われて、ワンオペが解消されたと思っても、あっという間にワンオペに戻していた」という。