市場拡大を後押しするのは、安倍晋三政権の目指すデフレ脱却の動きだ。
「インフレから大切な資産を守る運用を提案したい」
SMBC日興が先月中旬、都内で開いた「ラップセミナー」。講師が強調したのは、デフレ脱却で物価が上昇すれば、相対的に預貯金の価値が目減りすることだった。
特に、預貯金を扱わない証券会社は、顧客が将来の生活や子供の教育などに使う「減らしたくない」資産の受け皿となる商品をほとんど持たなかった。ラップ口座は分散投資のため、比較的安定した運用が見込める。「顧客の中核的な資産をお預かりできる」(野村の立山部長)として、重要性が増している。
また、株式相場の状況に業績が大きく左右される証券会社は安定化に向け、預かり資産から得られる収益の拡大を目指している。ラップ口座の残高を増やせば、この取り組みにも合致する。
米は300兆円超、市場拡大に余地
ラップ口座は、国内外の株や債券、不動産投資信託(REIT)などに投資する投資信託を組み合わせ、顧客のリスク許容度に応じた運用を金融機関が行う。