アリババの提供する多様なサービスはソフトバンクや楽天のそれとよく重なる。このどちらかが、近い将来アリババの主要な競合企業になるだろう。ヒントをあげるとすれば、それはソフトバンクではない。ご存じのとおり、ソフトバンクは上場後のアリババ株の32.4%を保有し、筆頭株主になる。アリババの成長を見守ることに対して、すでに利益を持つ存在だ。
アリババは、実は不気味なほど楽天に似ている。両社はその収益の多くをマーケットプレイスから生み出しており、アリババは在庫を一切持たずに四半期ごとに20億ドル以上の利益を上げている。目論見書からは、519億元(約8880億円)の現金および現金等価物を保有することも分かった。事業は順調で、中国国内でのインターネットとEコマースの普及を考えると、ほとんど成長が確約されていると言っても良い。
アリババで取引を頻繁に行うアクティブバイヤーは2億7900万人に達し、これに四半期ごとに2000万超のユーザーが加わる。アリババに投資することは、中国全体への投資と同じ意味を持つ。中国でインターネットを利用する人全員がアリババの少なくとも1つのサービスは使っているだろう。中国でインターネットが普及すればするほど、そして中国人が豊かになればなるほど、アリババも繁栄する。投資家たちは、アリババの事業革新に賭けるのと同程度に中国経済に賭けていることになる。
◆中国外の収益9%
アリババほど多様なサービス領域を持つEコマース企業は世界中を見渡しても他にない。アリババは、B2B、C2C(消費者間取引)、B2C(企業と個人消費者間取引)のそれぞれに特化したEコマースサイトを運営する。この全カテゴリにおいて、アリババは世界を牽引(けんいん)するリーダーだ。アマゾンでさえ、これほど広範囲をカバーしていない。