東芝は12日、「日本版GPS(衛星利用測位システム)」と呼ばれる準天頂衛星の電波を使ってEV(電気自動車)バスの位置を把握する交通システムの開発に、国内で初めて成功したことを明らかにした。従来のGPS衛星よりも精度が高く、自動運転車や農業機械の遠隔操作などへの活用が期待される。東芝は実用化でリードし、成長分野で主導権を握りたい考えだ。
16日からシステムを搭載したEVバスの運行を同社の府中事業所(東京都府中市)で始める。従来のGPSの受信装置は海外メーカー製が主流だったが、東芝は日本無線と共同で国産の受信装置を開発した。日本の準天頂衛星は現在1機しかなく電波を受信できない時間帯があるため、システムはGPSと組み合わせて運用する。
準天頂衛星は日本列島のほぼ天頂(真上)を通過する人工衛星。8の字を描くような軌道で東アジア地域をカバーする。