日本郵政グループが矢継ぎ早に施策を打ち出している。今月3日には、傘下の日本郵便が国際宅配郵便事業に本格参入すると発表した。欧州物流大手のジオポスト、香港のレントングループと資本・業務提携し、アジア・オセアニア・欧州など世界49カ国・地域に宅配便を送れるようにする。「ゆうグローバルエクスプレス」の名で、30日から取り扱いを開始する。
インターネットの普及で手紙やはがきなど私信の取り扱いは年々減少している。日本郵便の経営も圧迫されており、新たな需要開拓が死活問題となっていた。それだけに今回の国際宅配郵便事業への本格参入は、戦略的な一手として期待が寄せられる。特に需要拡大が著しいアジア市場でいかに高い信頼とプレゼンスを確保できるかが試金石となろう。
日本郵政グループは、2015年の早い時期にまず持ち株会社の日本郵政が株式を上場する予定になっている。今月1日には主幹事証券11社も決まり、これから上場準備が本格化し始める。その際、焦点となるのは、上場会社としての日本郵政のグループ戦略であり、投資家が評価するエクイティーストーリー(資金使途)をどう描けるかにかかっている。企業価値を高められる経営施策が問われており、日本郵便の国際宅配郵便事業もその一つに位置付けられる。