【インタビュー】三井物産専務執行役員・加藤広之さん(58) (1/2ページ)

2014.10.13 05:00

 ■銅や石炭を鉄鉱石事業に続く柱に

 --商社の資源戦略への警戒感が広がっている

 「総合商社は強みとする事業やビジネスモデルが各社それぞれで異なり、ひとくくりにできない時代だ。当社は資源・エネルギーが収益の稼ぎ頭。中でも1960年代から事業に投資し、鉄鉱石の3強メジャーと組んだ鉄鉱石事業は世界第5位の生産力を持ち、盤石だ。仮に価格が下落しても稼げる競争力がある」

 --資源開発での成功の秘訣は

 「技術に対する目利き力とパートナー戦略だ。石油・ガス開発では、子会社の三井石油開発も含めて100人弱の技術者が現地のパートナーと切磋琢磨(せっさたくま)しながら技術力を磨いてきた。年間で300件超持ち込まれる投資案件を30件程度に絞り込み、実際に投資するのは数件。探鉱開発の成功率も5割超に上がった。ただ、環境は厳しく、目利き力の強化とコスト削減努力は続ける」

 --シェールガス・オイル特有の開発の難しさは

 「開発技術は確立途上で、うまく取り出す条件は頁岩(けつがん)層の圧力や掘削技術の実績などで異なる。同一鉱区内でも生産量に差があり、コストの見極めが難しい。ただ資源開発の川上から、ガスを使う化学事業など川下までのいずれかの段階でもうけることで価格リスクを回避できる。米産シェールガス価格は弱含みだが、ガスを使った発電やメタノール事業などが息を吹き返し商機はある」

 --中長期の資源の需要見通しと資源戦略は

 「世界の人口増やインドの経済成長などで中長期の資源需要は必ず増える。常に競争力のある資産に入れ替えながら、2020年には鉄鉱石や銅など金属資源と石油・ガスの生産量をそれぞれ今の1.4倍に増やす。銅や石炭を鉄鉱石に次ぐ柱に育て、豪州の液化天然ガス事業やロシアの資源開発プロジェクト『サハリン2』の拡張も視野に、日本やアジアの資源の安定調達に貢献したい」

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