日本でも平成22年、マレーシアの大手LCC、エアアジア傘下のタイ・エアアジアXが羽田空港に就航すると羽田-クアラルンプール間を片道5千円で提供。こうした格安運賃を武器にするLCCがアジアから次々に就航し、国内線就航にも意欲をみせていた。
この新勢力の日本侵攻を食い止めようと、LCCに参入したのが全日空と日航だ。全日空はピーチとエアアジア・ジャパン(現バニラ・エア)に出資。経営再建を果たした日航も遅れて、ジェットスター・ジャパンの設立に関わった。
ある空港会社社員は「LCCは格安運賃で新たな需要を掘り起こした。全日空や日航も本当はライバルに発着枠を取られたくないからこそ、やむを得ず傘下にLCCを置いている」と解説する。
ところがピーチは今夏、パイロット不足で2千便以上の減便を発表するなど経営基盤の弱さを露呈した。いざというときも大株主は当てにできず、全日空からの人材支援はなかった。