■誰が食べてもおいしいご飯追求
≪TEAM≫
Wおどり炊き機能を搭載した炊飯器の開発は、機構設計や調理プログラムを決めるおいしさ担当など6人のチームでスタートした。それまではパナソニックと三洋電機のスタッフはそれぞれ別々に開発していたが、今回初のコラボとなった。当初は6人でスタートしたが、最終的に開発に携わる全員が参加する大プロジェクトとなった。
Wおどり炊きが目指したのは誰が食べてもおいしいと感じるかまどで炊いたご飯。そこで活躍したのが「ライスレディ」だ。パナソニックには、炊飯器に組み込む調理プログラムを決定するライスレディと呼ばれる担当者がいる。既に35年以上の歴史があり、調理ソフトチームの加古さおりチームリーダーは20年以上も担当するベテランだ。現在は6人の女性スタッフが調理ソフトの開発に携わる。
ライスレディが働く調理実験室には、キッチンがあり、炊飯器やコメ、計測器、パソコンなど所狭しと並ぶ。ライスレディの仕事は「ご飯のおいしさを科学的に捉え、みんながわかるように理論付けて商品に落とし込むこと」(加古さん)と話す。
このため、朝から晩までコメを炊いて食べての繰り返しだ。大体1人の担当者が1日12回、コメを炊いて食べる。1つの新製品を開発するのに約3トンのコメを使っている。コメだけ食べていると飽きそうだが、味が異なり、意外と飽きないという。コメはタンパク質が多く、太りそうだが、「仕事が増えると、みんなやせていく」(同)と笑う。
Wおどり炊きの開発もスタッフがやせるほど多難続きだったという。「実際にかまどで炊いたご飯と数え切れないほど比較しながら開発した」(同)。内釜への火力や圧力のかけ方など、炊飯器の機構設計者やIHの制御担当と何度も相談しながら形にしていった。