国連での経験も生かし、新興国市場に進出する日本人がどうやったら市場を開拓できるか、新興国市場は政府の権限が強いので、政府系とのやり取りも知見があるので、そのあたりを生かして起業できると踏んだ。また「語学力、機動力、交渉力では誰にも負けない」という自負もあり、起業に踏み切った。
東京で起業し、当初は東アジアや東南アジア案件が多かったが、徐々にインドや中東などの案件も増加。インドでしっかり根付いてやらないと難しいと判断し、2011年11月にムンバイに子会社を設立した。子会社設立当初は、インド・東京が半分ずつ、という生活だったが、昨年8月にインド人弁護士と結婚したのを機に、現在は7~8割はムンバイでの生活に変わった。
◆信用調査にも参入
もっとも、元々は、「インドが好きできたのではない」と話すように、現在の拠点はインドではあるが、ビジネスは、香港やシンガポール、タイ、インドネシアなどのほか、インドからアクセスがよい中東などの案件も手がける。
松野社長は、日本人が中東やアフリカのビジネスをすべてマネジメントすることは難しいとみる。このため、「交渉力の高いインド人を使って、日本の旗を背負って、中東、アフリカに行ってもらうことも視野に入れている」と話す。
これまでは、日本企業を対象にアドバイスすることが中心だったが、これからは、今夏に開始したインド企業の信用調査事業に加え、「日本企業に代わって商品を売ってほしい、という話が多いため、販売委託業務なども新規に進めていきたい」とするなど、新たな手を打っていき、事業規模拡大を狙う。