ソニーは25日、投資家向け説明会を開き、スマートフォン事業の抜本的な構造改革などを柱とするエレクトロニクス(電機)事業の中期戦略を発表した。スマホ事業子会社の社長に今月就任した十時(ととき)裕樹氏は、来年度に抜本的な構造改革を終え、収益を安定化する考えを示した。ソニーは今後、スマホに代わり、センサーなどのデバイス事業やゲーム事業を牽引(けんいん)役に、復活を目指す考えだ。(高橋寛次)
「安定した収益の確保に経営の主眼を置く」
十時社長はこう述べ、スマホのモデル数削減など「集中と選択」を進める方針を説明した。
同業他社はこの2年でスマホの商品数を平均5割、最大7割削減していたが、ソニーの削減割合は3割程度にとどまっていた。拡大路線からの転換が十分でなかったとして、十時社長は「ソニーの対応には見直しの余地がある」と述べた。
また、世界に13カ所ある営業拠点についても、再編を検討する考えを示した。すでに約1千人の削減を打ち出しているが、追加のリストラも「ないとは言えない」と含みを持たせた。
スマホ事業は平成26年度の売上高見通しが1兆3500億円と、ソニーの電機分野で最大の事業だが、当面は“止血”を優先するため、売り上げ規模は縮小する見通しだ。
同日、ソニーが公表したスマホ以外の各電機事業の29年度の数値目標は、27年3月までに策定する次期中期経営計画(27~29年度)の土台になる。
この目標によると、ゲーム&ネットワークサービス事業は29年度の売上高が1兆4千億~1兆6千億円で、スマホ事業を上回る見通しだ。海外での販売が好調なプレイステーション(PS)4のシェア拡大に向け、ゲームなどのネット配信を強化する。
同様に成長を期待するのが、画像処理に使われるイメージセンサーなどのデバイス事業だ。29年度の売上高は1兆3千億~1兆5千億円を見込む。中国のスマホメーカーなどへの供給が増え「スマホやタブレット端末向けの売上高は2倍以上になる」(鈴木智行執行役)と期待を寄せる。
次期中期計画は、ゲームとデバイスの両事業を柱に成長戦略を描く見通しだ。スマホ改革の成否とともに、両事業の確実な成長がソニー復活のカギとなる。