企業の中には「もっと仕事ができるようになりたいんです!」というような言葉をストレートに言い放つ、元気な若手のクライアントさんも多い。これまで、仕事ができる人に出会うたびに、「いったいわれわれと何が違うのだろう?」と考えてきた。ふとしたことから、最近になって気づいたことがある。
仕事ができる人は、普通の人より、少しだけメールへの返信が早く、少しだけ周りへの声がけが多く、少しだけ意見調整が丁寧なのである。しかも、それを「当たり前」のようにやっている。どんなに忙しくても、当たり前のように迅速にメールに返信し、当たり前のようにひとこと部下にねぎらいの言葉をかけ、当たり前のように会議の前にキーパーソンと事前交渉を行っている。その分、人よりも少しだけ手間をかけているのだが、それも当たり前なのだ。つまり、できる人は当たり前のレベルが高いのである。
私はこのような人を「平熱が高い人」と呼んでいる。平熱が高いと、意思疎通のためのコミュニケーションの質と量が増すとともに、「スピード感のある対応のいい人」という見方をしてもらえる。その結果、組織としての合意形成や意思決定が円滑になり、どんどん仕事を進めることができるわけだ。
「じゃ、私も平熱を上げたいのですが…どうしたらよいのでしょうか?」。それには、平熱の高い人の力を借りればよい。平熱の高い人と仕事をする、平熱の高い人と仲良くなる、平熱の高い人を観察する。上司でも、社内の誰かでも、お客さまでも構わない。間近で彼らの仕事ぶりを見て、自分の仕事もその人のペースに合わせてしまうのだ。