□三井物産執行役員機械・輸送システム本部長 安永竜夫さん(53)
--ブラジルで旅客鉄道に本格参入する
「需要が高まる都市鉄道事業に現地の有力パートナーのオデブレヒトと共同で取り組む。地下鉄6号線や2016年の五輪で成長が見込まれるリオデジャネイロの新交通システムなど4案件に約7600億円を投じ、整備・運営する。さらに今後10年以内に実現する4、5案件の中から有望路線の運営権を共同で受注したい」
--日本の技術輸出につながる可能性がある
「経営に参画するからにはコスト競争力の高い事業者を選ぶ必要がある。一方で日本の安心・安全な運行や保守技術へのブラジル側の信頼は高く、訪日して運営管理や信号など日本の鉄道技術を視察するケースが相次いでいる。駅ナカ事業やプリペイドカードにも商機がある」
--貨物鉄道事業にも参画した
「9月の日伯経済合同委員会でも内陸からのインフラの未整備が経済のボトルネックとされ、主要テーマだった。資源大手ヴァーレが主導する貨物鉄道会社、VLIに出資し、4000億円を投じて鉄道・港湾のインフラ整備を進める。内陸で集荷した穀物をアジア向けに便利な北部の港から輸送できれば、世界最大の農業生産余力を生かせる。貨車リース事業との相乗効果もある」