ゼンショーHDは、積極的な新規出店により外食業界で売り上げトップに上りつめた。すき家で深夜時間帯に1人の店員が接客から調理、会計などすべての仕事をこなす「ワンオペ」を敷くなど人件費を徹底的に削減。同時に低価格も実現してデフレ下で大きく業績を伸ばしてきた。
ところが、今年2月に調理の手間がかかる鍋メニューが発売されると、負担の大きさに不満を募らせていた店員が次々と退職。人手不足で営業を休止・短縮する店が相次ぎ、収益機会が激減した。
さらに、これを機に設置された第3者委員会で「2週間家に帰れない」「月500時間以上働いていた」など従業員の過酷な労働実態が明らかになった。もともと景気回復に伴いパートやアルバイトが集まりにくくなっていたことに加え、過酷な労働環境が指摘されたことで求職者に敬遠される結果にもつながった。