これまでに、ゴールドマン・サックスは米国の類似企業に投資している。出前注文サービス大手2社が合併してできたGrubhub(グラブハブ)だ。シカゴに拠点を置くグラブハブは13年5月、ニューヨークのシームレスを買収して一回り大きくなった。米国の各都市にロンドンを加え、実に700もの地域でサービスを展開するグラブハブは今年4月にIPOを果たした。もともとシームレスに出資していたゴールドマン・サックスは今もそのシェアを握る。彼らは出前・デリバリー業界での成功を測るためのデータを十分持っているに違いない。
◆小規模店の経営懸念
韓国で首位を誇る配達の民族にもそれを取り巻く論争がある。ウーワ・ブラザーズのビジネスモデルは、アプリに掲載される飲食店から月額登録料と注文ごとに手数料を回収することから成る。その手数料はある店舗オーナーによると最高12.5%にもなるといい、掲載店舗の大半を占める小さな家族経営の店舗では手数料が経営を圧迫し、生き残りが難しくなると懸念される。
また、アプリ内にたくさんの店舗が掲載されている状況で、地域やジャンル内で高いランクに位置付けられなかった場合、小規模の店舗は経営が行き詰り、廃業に追い込まれる可能性すらある。配達の民族では、人気店舗がトップに並び、あまり人気がない店や知られていない飲食店を探し出すことは難しい。アプリがあることによって、これまでのように偶然小さな良店を発見したり、帰宅途中にある店に寄ったり、郵便受けに入れられたチラシを見て注文してみたりする人がかなり減る。ランキングの上位に入った一握りの飲食店だけが顧客の大半を獲得してしまうということも起こるだろう。