インフラの中でも特に電力供給が安定していないミャンマーでは、縫製や製靴といった電力を大量消費しない労働集約型の業種が主流だった。半導体製造工程で不可欠なクリーンルームの維持が困難なため、ハイテク関連産業にとってはリスクが大きい。実際、韓国・サムスン電子は、携帯電話工場の建設を計画していたが、電力供給を理由に断念していた。
ただ、ASEAN諸国の中でも安いミャンマーの人件費は魅力的だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、ヤンゴンの人件費はアジアの各都市と同様に上昇傾向にあるものの、一般工職の月額基本給は71米ドル(約8540円)。バンコク(タイ)の約5分の1、ホーチミン(ベトナム)の半分以下、プノンペン(カンボジア)の約7割の水準。中国・北京と比べ、7分の1以下だ。
地の利も大きな要件となっている。液晶テレビ・パソコン、自動車製造の一大拠点となっているタイに隣接しており、運送コストを大きく削減できる。