アサヒビールの小路明善社長は、6日開催した2015年事業方針説明会で、将来必要な外貨をあらかじめ決まったレートで売買できる「為替予約」を15年12月期に、外為取引の約7割まで引き上げたことを明らかにした。例年は全体の3分の1程度にとどめているが、「原材料の9割を輸入に頼る中、急激な為替変動が与える利益面の影響を小さくする」狙いだ。
金融緩和が続く日本に対し、米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに動くと金融市場でみられており、円安が進行する可能性が高いと予測。このため為替予約を進めることにした。
事業説明会では、14年のビール類販売が1億6320万ケース(1ケースは大瓶20本換算)で、前年比横ばいになったことを公表した。15年は0.1%増の1億6340万ケースを見込む。
15年は、消費者の価値観の多様化がさらに強まり、「商品価値を厳しく吟味する」(小路社長)とみている。こうした中、「さまざまな飲酒のシーンを想定した商品開発や商品の情緒的な価値の提案を強めていく」という。
具体的には、主力ビール「スーパードライ」で桜をあしらったピンクのパッケージ缶を春季限定で販売したり、超辛口に仕上げた「エクストラシャープ」などの新商品を投入したりして消費者の購買意欲を喚起、拡販につなげる。