□日本取締役協会会長・宮内義彦氏
■“経営の監督” 投資対象への条件
日本版スチュワードシップ・コードの公表や会社法の改正に続き、日本版コーポレートガバナンス・コードの策定が大詰めを迎えている。世界標準からすると“周回遅れ”とまでいわれる日本のコーポレートガバナンス(企業統治)だが、ここ1年でようやく制度の整備も始まった。企業経営者らで組織する日本取締役協会は、日本企業の価値を高める、という観点から10年以上にわたってコーポレートガバナンスのあり方を問い、環境整備を訴えてきた。いよいよ動き出した“新時代の企業経営”をどうみるか。日本取締役協会の宮内義彦会長に聞いた。
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--今春には日本版コーポレートガバナンス・コードが公表される
「日本取締役協会は従前から“経営の監督”という機能の導入を提唱し、そのためのコーポレートガバナンスの重要性を経済社会に訴えてきたが、ここ1年はかつてないほど社会からの関心が高まっている。ただ、これは制度が動き始めたことによるもの。行政主導の制度創設が大きなインパクトになった。取締役会を“経営の監督”として機能させるために、社外取締役を置かざるを得ない環境が、行政主導で事実上整備された格好だ。これに伴い、“経営の監督”という機能をどう確保するのか、という具体論が動き出すことになる。とはいえ、これは本来の目的からすれば、そろりと一歩を踏み出したにすぎない。本来、コーポレートガバナンスは投資家のための仕組みであり、監督機能が発揮されて初めて意味を成すものだ。世界の投資家からみると、周回遅れとまでいわれる日本の現状を挽回するためにも、今後の取り組みが重要になる」