「太陽光事業への不安が広まっている。これを取り除いてほしい」
今年1月、平成27年度の再生可能エネルギーの固定買い取り価格を算定する有識者会合で、和田武委員(前日本環境学会会長)はこう訴えた。
念頭にあるのは、九州、東北など大手電力5社が昨年9月以降、急増する太陽光の買い取り手続きを保留した一連の騒動だ。天候で出力が変動する太陽光が増えすぎると、電力需給バランスが崩れ、大規模停電が起きる恐れがある-というのが保留の理由だ。
政府は電力需給に応じて、大手電力が発電事業者に出力抑制を指示しやすくする新ルールを設けた。だが発電事業者は、出力抑制の設備が必要となるほか、思うどおりに電気を売れなくなる恐れもある。
3日に閣議決定した電気事業法改正案では、大手電力会社の送配電部門を切り離し、地域独占を撤廃する「発送電分離」を32年4月に実施すると定めた。再生エネ普及のカギを握る新規参入者は、電力を売る際、現在の大手電力が持つ送電網や電柱を借りなければならない弱い立場であることは否めない。
販売や発電を含めた「エネルギーの自由化」を進めるには、新規事業者が公正に競争できる環境づくりが不可欠だ。
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