平成27年春闘の電機産業の労使交渉で、賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)は、月額3千~2500円の攻防となっている。慣例では500円刻みの回答になることが多いため、「3千円」「2500円」のいずれかで決まる公算が大きい。ただ、電機の統一交渉では、各社が横並びの回答をするのが一般的。業績の差が開いており、全社が一致する水準を模索する中で波乱が起きる可能性もある。
各労組のベア要求は6千円。しかし、交渉の中で大手企業の経営側が実施を検討しているのが3千~2500円の水準だ。もっとも、複数の会社が「固定費増が将来にわたり経営に影響するため、厳しい」(大手幹部)と、3千円については難色を示している。
電機連合との交渉の中心となる6社の27年3月期の業績見通しをみると、営業利益予想では日立製作所、東芝、三菱電機が過去最高を見込み、パナソニックも順調だが、富士通、NECは回復の途上。最終利益見通しでも、日立が2500億円を見込む一方、NECは350億円にとどまるなど、差が大きい。
過去の電機のベアは、10年の1500円や昨年の2千円など、500円刻みがほとんどだ。しかし、統一交渉では、各社が同水準の回答をすることが慣例化しており、全社が実施できるベアの水準をめぐり、異例の100円刻みとなる可能性もある。今週末から交渉は大詰めを迎え、経営側は18日に一斉回答する。