だが、こうしたなかで、業界内で懸念されているのが、小型テレビの品薄だ。
デジアナ変換サービスの終了に伴って、小型テレビの需要が例年以上に旺盛であるのに加えて、3月後半から4月にかけての単身世帯の需要が増加。さらに、デジアナ変換サービス終了時の移行措置のひとつとなる地デジチューナーが、中核部品の生産終了を理由に、潤沢な量が供給できないことが分かっており、この分も小型テレビの需要増に拍車をかけるとみられている。さらに、店舗やホテルなどの各種施設で導入されている小型テレビも、設置スペースの関係から、地デジ対応の小型テレビに置き換える一括需要が見込まれている。
家電メーカー各社としては単価が高い大型テレビへとシフトさせたいところ。だが、昨今の円安で、海外生産が多いテレビは価格が上昇傾向にあり、需要を取り込みにくい環境にある。
久しぶりにテレビ市場が活況ぶりをみせているとはいえ、メーカーや量販店は、単価が低い小型テレビが中心で、収益増へのインパクトは今ひとつ。しかもそれが品薄になるという頭の痛い問題を抱えている。(大河原克行)