常時発電する電源は相対的にコストが安く、安定供給性にも優れている。これをベースと位置づけ、夏場や昼間など電力需要が増えた際には、「ピーク電源」である石油火力や揚水で発電量を増やせば、発電コストの引き下げや安定供給につながる。
現在の火力集中によって全国平均の電気代は、震災前に比べて企業用で3割、家庭用も2割値上がりしている。これに加えて北海道電力に続き、関西電力も追加値上げを申請中だ。原子力というベース電源を欠き、発電コストの高い石油火力などをフル稼働させているためだ。
さらに再生エネを固定価格で長期に買い取る制度の拡大で、家庭や企業が支払う今年度の賦課金は、昨年度に比べて2倍に上がる。電気代の高騰は中小企業などの経営にも深刻な打撃を与えている。
海外主要国でもベースロード電源は全体の6~9割を占める。このため、経産省や自民党は日本もこの国際水準並みを確保すべきだとの立場だ。
同省試算では、30年時点の総発電量を省エネ効果なども見込んで全体で1兆キロワット時と仮定した場合、水力と地熱で1割を確保できるという。残りを石炭と原発で分け合えば、ベースロードで電源全体の6割を賄える。