張りきって新生活を始めたものの、慣れない環境や人間関係にへとへと、という方はいないだろうか。上手にストレスに対処できないと、適応障害や鬱病を発症する危険がある。
今や世界で3億5000万人が鬱病を抱え、就業できない状態の9.6%が、鬱病によるものという。最近は、若年層の発症と再発の傾向が目立ち、教育や就業の機会を失うことが危惧される。
鬱病患者が100万人を超えたわが国でも、鬱病対策は喫緊の課題だ。昨年6月、労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導を企業(従業員数50人未満は当分努力義務)に義務づける制度ができた。今年12月から施行される。
厚生労働省のストレスチェック制度に関する検討会報告書によると、国が推奨する57項目の簡易調査票などを用いて、医師や保健師などが労働者の心理的負担の程度をみる。職場の「部」や「課」など、集団ごとに分析した上で職場環境を改善することを努力義務とする、という。
折も折、気になる調査結果を耳にした。デンマークの製薬企業ルンドベック(本社・コペンハーゲン)が、日本を含む世界16カ国、計1万6000人を対象とした「職場での鬱病に関する国際意識調査」だ。
各国の男女1000人(過去12カ月間に従業員または管理職だった16~64歳)に同じ質問をしている。際立ったのが、日本の職場での対応不足だ。
同僚が鬱病になっても「何もしない」人が40%と、調査国中トップ。2位の米国、カナダ(20%)の2倍で、他国を大きく引き離している。
逆に、「役に立てることはないか尋ねる」人は16%と、最下位。1位メキシコ67%、2位オーストラリア57%と続き、おおむね40~50%台であるのと比べると、雲泥の差がある。