日本製の採用は間違いないとみられていた最大500億豪ドル(約4兆6400億円)規模のオーストラリアの次期潜水艦受注の行方が混沌(こんとん)としてきた。豪州国内での建造を求める声の高まりを背景に、豪州政府が日独仏3カ国の中から選定する方針を表明。これを受け、欧州勢が現地生産方式を前面に出し攻勢を強めているのに対し、日本は受注を争う姿勢を見せていないためだ。昨年、安全保障強化や防衛産業の基盤維持などを狙いに「武器輸出三原則」に代わり制定された「防衛装備移転三原則」の下で日本が防衛装備の海外移転にどう取り組むかを海外に示す初の大型案件となるだけに、関係者の間には日本が敗れた場合の影響を懸念する声が出ている。(佐藤健二)
そうりゅう級に実績
豪州は2009年の防衛白書で現役のコリンズ級(通常動力型、潜水時排水量3300トン)6隻の更新計画を発表して以来、5年以上にわたり検討を続けてきた。海洋進出を急ぐ中国の脅威に対抗し、年内にも次期潜水艦8~12隻の調達先を決め、10年後をめどに配備する計画だ。