平成28年3月期の自動車大手7社の研究開発費見通しが前期比6・17%増の計2兆7240億円になり、過去最高水準となった。トヨタ自動車は「創業以来、過去最高」、日産自動車も「過去十年で最高」と、各社とも好業績を追い風に高水準の投資に踏み切る。燃費性能や安全技術など、将来への基盤固めを急ぎ、国際的な商品力を高める狙いだ。
「次世代環境技術の開発や高度運転支援技術の実用化、ロボット事業の強化など、新たな成長分野での投資は待ったなしだ」
トヨタの豊田章男社長は5月の決算会見でこう強調した。トヨタは28年3月期に過去最高額となる前期比455億円増の1兆500億円の研究開発費を計画している。
26年12月に燃料電池車(FCV)「ミライ」を発売し、FCVやハイブリッド車(HV)など環境技術の開発を強化する。また、27年には無線通信を活用した運転支援技術を一部の新型車に搭載する方針だ。
新型の環境対応車や海外向けの戦略小型車の開発を進めるホンダは、474億円増の7100億円。32年までに市街地や交差点を自動走行できる自動運転技術の導入を目指す日産も239億円増の5300億円とそれぞれ過去最高水準の研究開発費を見込んでいる。