Q 東芝の不適切会計とは
A すでに判明しているのは、次世代電力計「スマートメーター」と、高速道路の自動料金収受システム「ETC」設置などの工事をめぐり、平成23~25年度の営業利益を500億円強かさ上げしていたこと。これらのインフラ工事を含めた計4分野を第三者委員会が調査している。
Q どのようにかさ上げされたのか
A いずれの工事にも、工期の長い場合に用いる会計制度である「工事進行基準」が使われていた。決算は1年ごとに締めるが、複数年にまたがる工事にかかった費用や売り上げのすべてを完成した年度だけに計上すると、実態を表せなくなる。このため、工事の進(しん)捗(ちょく)度合いに応じて、各年度に売り上げや費用を計上するための基準で、これを使うこと自体に問題はない。
Q 進捗率はどのようにして決まるのか
A その年度にかかる費用が工事全体の50%なら進捗率は50%で、売り上げに関しても受注総額の50%を計上する。東芝は「工事原価総額の過少見積もりがあった」としている。例えば、必要な費用の総額が200億円なのに100億円と見積もっていたら、1年目に50億円の費用がかかる進捗率は、実際は25%のところが50%に上がる。売り上げも50%分が計上されるため、その年度に得た利益が実態より多くなる。
Q なぜ見積もりが甘くなったのか
A 調査中だが、次世代電力計やETCは東芝にとって新規事業のために見積もりが難しかったとみられる。ただ、東芝は「予算達成目標の位置づけが高かった」としており、当面の利益確保のため、工事の途中で費用増が判明しても総額に反映しなかった疑いがある。