英国や韓国、アイルランドでは、社会福祉や雇用の分野での慈善事業、社会的企業の支援に充てられている。ここで、英国と韓国の例を少々詳しく見ておく。
英国では、2011年から休眠預金の活用が始められた。08年に休眠口座検索システムが開設され、預金者は簡単に休眠預金の有無をウェブサイトで確認できるようになっている。それでも取引が15年以上なく、預金者と連絡が取れない休眠預金は総額約520億円。この休眠預金は「リクレイムファンド(請求基金)」に移された後、「ビッグロッタリーファンド(BIG)」という財団に拠出される。そこからイングランド地域分は「ビッグソサエティキャピタル(BSC)」に拠出される。残りはイングランド以外の地域内で活動する団体への助成金となる。
BSCは12年、休眠預金の活用のために設立された。社会的事業や社会起業家支援への投融資を行う中間支援組織に、投資という形で資金を提供する。成果を重視し、投資対効果の指標を取り入れる。社会課題の解決とともに経済的持続性を追求する「社会的インパクト投資」の下支えとなっている。
ポートフォリオは、社会福祉や環境領域などの事業収益型慈善団体や社会的事業者向けの投資ファンド、市民社会向けプロジェクトを集めるクラウドファンディングなど多様だ。
13年12月までに、中間支援組織を通じ、介護施設に居住する高齢者向けプログラムを提供する団体や若年無業者の企業研修マッチング支援を行う団体など57の慈善団体や社会的企業に総額約1億4910万ポンド(約283億円)を提供している。