太田昭宏国土交通相とタイのプラジン運輸相は27日、国交省内で会談し、バンコク-チェンマイ間の高速鉄道について、日本の新幹線方式導入を前提に調査を始める覚書を締結した。新幹線導入で事実上合意した形とみられる。開業時期は未定だが、実現すれば台湾新幹線に続く新幹線輸出となる。安倍晋三政権が成長戦略で掲げるインフラの海外輸出にも弾みがつきそうだ。
合意したのは、バンコク-チェンマイ間を結ぶ約670キロの路線で、日本の新幹線と同じく専用軌道を建設する。総工費は日本円で1兆円(約2800億バーツ)超の規模となる。
両国は事業化に向け、需要予測や採算性などの評価を共同で行う。また、車両や運行システムの選定、運営主体や資金調達の方法など幅広い分析も行う。建設費の一部については、日本からの資金援助も検討する見通しだ。
日本は新幹線の車両、線路、運行システムをセットで売り込む考え。JR東日本や三井物産、日立製作所、三菱重工業などが事業への参加を検討するとみられる。
両政府は今年2月、タイの鉄道分野全般の整備協力に関する覚書に調印。タイ側は日本の新幹線技術に高い関心を寄せていた。具体的に新幹線を明示した覚書は初めてとなる。
日本の新幹線導入に向けた事業化調査はインドでも行われている。ただ、インドの高速鉄道には中国勢なども名乗りを上げている。