【ハザードマップ】為替変動に翻弄され経営悪化 大和物産 (1/2ページ)

2015.6.4 05:00

 輸入食品を専門に取り扱っていた大和物産が2月24日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は5億3000万円。売上高は食品卸業界では中堅以下の規模で、従業員も10人に満たない中小企業だったが、50年を超える業歴を持つ老舗として高級スーパーなどに販路を築いていた。2008年秋のリーマン・ショック後に襲った円高で通貨オプション取引による損失が発生。さらに近年の急激な円安で収益が悪化し、経営が行き詰まった。

 大和物産は創業以来、専門商社などから菓子や缶詰、コーヒー、紅茶などの輸入食品を買い付け、首都圏を中心に小売店や食品問屋など約200社と取引していた。さらに東京・上野の「アメ横」近くの御徒町に小売店も構え、賞味期限が近い商品や箱つぶれ品などを激安で販売して話題を呼んでいた。

 ピーク時の1992年8月期に約23億円だった売上高は、景気低迷の下で近年は10億円を割り込むまでに落ち込んでいた。それでもリーマン・ショック直後の2009年8月期までは12期連続で最終黒字を確保し、我慢の経営を続けていた。しかし、円相場の激変という荒波に翻弄されることになる。

 円高に振れると仕入れ価格は下がり、輸入比率が高い業者には有利に働く。だが、為替リスクをヘッジするため金融機関と通貨オプション取引を行っていた同社は、急激な円高による想定外の損失の発生で資金繰りが急激に悪化した。リーマン・ショックの余波で売り上げが大きく落ち込む不運も重なった。

 10年8月期に通貨オプションの解約金(1億5700万円)を特別損失として計上し、13期ぶりの赤字に転落した。解約損を補填(ほてん)するため地元の金融機関から1億円の融資を受けた後も減収が続き、負債が膨らんで12年8月期には債務超過に陥った。

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