大いなるマンネリ
なぜ、約1万回という長期にわたり、番組の人気が保たれているのだろうか。理由について、影山教授は「『私、動物と話せるのよ』など、ゲストが答えにくいことを言っても『あの人なら仕方ない』と許され、愛される。テレビ界でも希有(けう)な人」と、黒柳さん特有の「魅力」を指摘する。
そのうえで、「決して偉ぶらないし、知らないことは『教えてくださる?』と率直に聞き、時には若手芸人からいじられるなど懐が広い。一方で、ゲストの“失言”には毅然(きぜん)と対応するので、安心して番組を見られる」と語る。
番組が常に順調だったわけではない。田原プロデューサーによると、視聴率の低迷で少なくとも2度、打ち切りの危機があったという。それでも継続してきたのは、そのたびに「この番組はなくしてはいけない」との声が社内外を問わず、上がったためだ。同局の吉田慎一社長は同番組を「会社の宝」と表現する。
田原プロデューサーは「基本的には、番組のスタイルが変わらないことの安心感を大切にしたい。『大いなるマンネリ』を続けることが視聴者から信頼をいただけているのでは」と話している。