□東芝 リビング扇風機「F-DLT1000」
■エアコンと併用 7枚羽根で空気攪拌
扇風機の販売台数は、エアコンの普及が進むにつれて減少が続いていた。一時期は、総合家電メーカーの多くが新商品の開発を取りやめる事態に陥っていたが、東日本大震災以降の省エネ意識の高まりとともに、扇風機は新たな家電商品として再注目されている。東芝がこの4月に発売した「F-DLT1000」は、直流インバーターモーターを採用、“エアコンとの併用”に有効な機能・性能が重視されている。
◆震災きっかけに再び注目
わが国で初めて扇風機が発売されたのは明治の中頃、米国から輸入された商品だった。大正時代には国内で量産されるようになり、高温多湿になる日本の夏の特徴もあって広く普及していった。
しかし、人に直接風を当てて暑さをしのぐという使われ方をしていた扇風機は、エアコンの普及が進むとともに、徐々に販売台数を減らしていった。また、差別化が難しい商品のため、売価も低下傾向をたどり、専業メーカーから発売されるせいぜい5000円程度の商品が主流となっていた。
活力を失いかけていた扇風機市場が再び活性化したきっかけは、東日本大震災による電力事情の悪化だった。官民挙げて節電に取り組む中で、エアコンを止めて消費電力の小さな扇風機の利用が推奨された。
さらに、電力事情が多少落ち着きを取り戻した後も、室内の上下で温度の偏りが生じやすいエアコンの欠点をカバーするために、扇風機を併用して室温を均一にし、暖め過ぎ・冷やし過ぎの無駄をなくすという使い方が注目されるようになった。