□JFEスチール社長・柿木厚司さん(62)
--鉄鋼業界を取り巻く状況は
「自動車など製造業の需要が減り、在庫が高止まりしている。4~6月期は生産が落ち込み、回復がなかなか見込めない。夏季賞与後に賃上げの効果が出ることで消費が伸び、土木建築業の足かせになっている人手不足が和らぐ見込みの下期(9月以降)には、需要は高まっていくだろう」
--中国の過剰生産が続いている
「中国からの鋼材輸出は1月に1000万トンを超え、年間で1億トン近い鋼材が出てくる可能性もあり、国際市況は悪化する。中国政府が生産設備の余剰を見直すなどという報道もあるが、現実には生産量は落ちておらず、当面はこの状況が続くのではないか」
--市況悪化への対策は
「国内の製造基盤を強化することだ。これからは(中国や韓国など)東アジアの有力製鉄所と価格、品質の競争になる。生産費を下げ、技術的にも優位性のある製品が必要となる。例えば(石炭を蒸し焼きにして原料にする)コークス炉が老朽化して外部から一部購入しているが、炉を改修して自社で高品質のものをつくる。2017年度まで3カ年で計1100億円規模のコスト削減を図る」