「ここには音楽の全てが詰まっている」と話すのは、浜松市楽器博物館の嶋和彦館長。同館には打楽器、弦楽器、管楽器、鍵盤楽器、電子楽器など世界中のほぼ全ての地域、時代、種類の楽器と音楽や資料など計約1300点が常時展示されている。
嶋館長は「ただ展示しているだけではない。一つ一つの楽器や音楽には背景、歴史があり、そういった目に見えないものも文化人類学(民族学)、歴史学の視点から触れてもらえる内容となっている」と説明する。
その中には、現存する世界最古のピアノとしてメトロポリタン美術館(米ニューヨーク)に展示されている、クリストフォリが1700年頃に製作したピアノを復元したものもある。河合楽器製作所はこのピアノの復元に協力しており、「考証を加えて忠実に再現されている」(嶋館長)という。
同博物館では、古い歴史的価値のある楽器を使った演奏会なども実施している。嶋館長は「それぞれの楽器が、それが使われていた時代にどのような音色を響かせていたのかを五感で感じてもらえたらうれしい」と語る。
同館では、これらの演奏を録音してCDに収め、「浜松市楽器博物館コレクションシリーズ」として、アルバム50点以上を販売。音楽教育の場や音楽愛好者の間で、人気の高い商品となっている。