1回のセールストークくらいで、簡単には置いてはくれません。何回も何回も通っているうちに、紀ノ国屋やユアーズは次第にピザも置いてみようかとなりました。
自宅にオーブンがあるような外国人が通う、そうした高級スーパーに狙いを付けたことがラッキーでした。1ドル=360円で輸入するピザクラストに比べてコストが安くなり、セールスに力を入れることで、少しずつですが売れ行きも良くなり、1年後に何とか黒字転換しました。
◆資金繰りに課題
ただ、経営は簡単ではありません。ピザを販売しても60日とか90日の手形をもらったりするわけです。すると、その期間の社員の給料などの資金手当てができません。売り上げが増えても、お金が入ってこないと事業が回らないのです。
その頃、20代の女性経営者はほとんどいません。ましてや日系3世。金融機関から全く信用されず、担保もなく、融資を受けることができなかったことが大きな問題でした。
資金繰りに困り果てて、最初の1年間は父のポケットマネーから借金をしてしのぐこともありましたが、父から「自分で銀行に行き、借りないとビジネスは成り立たないよ」と厳しく言われていました。社長である父が保証人になることで、何とか融資してもらうような状況でしたが、このままでは行き詰まると、打開策をいつも模索していました。(ジェーシー・コムサ会長)