東芝の不適切会計問題を調査している第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)は20日、平成20年度以降の税引き前利益の過大計上額が1518億円に上り、「経営判断として行われた」とする報告書を会社側に提出した。報告書は、歴代3社長が月例の報告会で「チャレンジ」と称した「利益至上主義」による収益改善を部下に迫り、「上司に逆らうことができないという企業風土」があったとした。
田中久雄社長が21日に記者会見して辞意を表明する見通しのほか、問題にかかわったとされる前社長の佐々木則夫副会長も辞任する方向だ。東芝は経営陣の大幅刷新を含めた抜本的な出直しを迫られる。
報告書によると、不適切会計は社会インフラ、半導体、パソコン、テレビなど主要事業のほぼすべてで行われていた。
社会インフラ事業では、次世代電力計(スマートメーター)や高速道路のETCの案件などで、受注時に損失が見込まれていたにもかかわらず、適切に計上しなかったとされる。半導体事業では、価格下落などに伴う在庫の評価損を不適切に計上。パソコン事業では製造委託先への部品販売で利益を過大計上し、テレビ事業でも販売促進費や広告宣伝費の計上を先送りしていた疑いが指摘された。