清水建設と日本IBMは28日、視覚障害者向けに屋内外で使える音声ナビゲーションシステムを開発したと発表した。歩行者がスマートホンのアプリと音声対話をして、歩く経路の幅、階段の位置・段数、手すりの長さ、床面の状態などの情報を音声発信し目的地に誘導する。実証実験により技術をさらに高度化し、2018年までの実用化を目指す。
清水建設の建物図面情報を使った空間情報データベースと、日本IBMの高精度な位置測定技術を組み合わせた。歩行者のスマホが、施設内外に設置された電波発信器からの電波の強弱を感知。平均1.5メートルの位置精度で現在位置を認識し「右2時の方向を向きます」「残り5メートル」「階段はまっすぐで34段、途中に踊り場が1カ所あります」などスマホからヘッドホンを通じ目的地までの情報を案内する。
利用者に合わせて、階段や段差のないルートを案内するなども選べる。清水建設は同社技術研究所(東京都江東区)内に体験施設を設置し、位置精度や案内技術の高度化に取り組む。
また、清水建設と日本IBMは視覚障害者にとどまらずに医療施設や商業施設など広く、人が多い施設での活用も提案する。清水建設の石川裕常務執行役員は「リアルタイムで歩行者位置を認識するため、時間限定のセールを案内するなどの活用法も期待できる」と述べた。