【高論卓説】電子書籍の未来像 日本文明が世界に浸透する (1/2ページ)

2015.8.4 05:00

 徳川綱吉の側用人だった柳沢吉保の大名屋敷の庭園である、六義園に接するようにして、世界的な東洋史の文献を所蔵する「東洋文庫」はある。真夏のうだるような暑さは一転して、雷雨となって、慌てて館内に入った。閲覧室の開架には、元朝など中国歴代王朝の史伝が並ぶ。所蔵の文献は漢籍のみならず、チベット語やアラビア語、ペルシャ語などに及ぶ。研究者が数人、黙々と文献に向き合ってノートをとっている。戦前の三菱財閥の岩崎久弥氏のコレクションを核として、蔵書が徐々に加えられて、財団法人化してから昨年で90周年を迎えた。

 平凡社が50年以上にわたってシリーズ化している「東洋文庫」のなかにも、そうしたコレクションの一部が翻訳されている。このシリーズは850点以上に及ぶ。絶版になっているものもあり、中古本を求める研究者が多い。

 いま、シリーズのほとんどが、電子書籍で手に入る。日本の電子書籍事業の草分けのひとりである、イーブックイニシアティブジャパンの会長の鈴木雄介さん(71)が15年前に事業を始める際に、「日本の文化を担っていく」という創業の理念の象徴的な電子書籍として取り組んだ。平凡社にも保存されていなかったシリーズの一部もあって、部下たちは古書店街を駆けずり回った。

 小学館の週刊ポストの編集長などを経て、書籍の編集に関わるようになった鈴木さんは、パソコンで編集、割り付けをして印刷所に入稿するDTP(デスクトップ・パブリッシング)の可能性に引き込まれた。さらに、紙に印刷しなくても、それにふさわしい端末によって読書はできるという考えに至った。出版社や電子機器メーカー、などのメンバーを集めたうえ、旧通産省の補助金を得て、端末づくりに取り組んだ。18年前のことである。

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