【埼玉発 輝く】寿技研 低価格の腹腔鏡手術練習器具で町工場躍進 (2/4ページ)

2015.8.20 05:00

モニターを見ながら手元を動かす腹腔鏡手術トレーニングの様子=埼玉県八潮市の寿技研

モニターを見ながら手元を動かす腹腔鏡手術トレーニングの様子=埼玉県八潮市の寿技研【拡大】

  • 高山成一郎社長
  • ワイヤーコネクト吻合モデルキット(手前)。奥は子宮を模した縫合モデルキット

 腹腔鏡手術簡易トレーニングボックス「ラパトレK」(2万3760円)をはじめ、人体組織に近い感触と針通りの素材「エラスティシュー」を開発し、縫合、結紮(けっさつ)の練習用にさまざまな形状の「トレパッドシリーズ」(各2700円など)を展開。実際の手術時に近い状態を再現するため、トレパッドを乗せて電動で上下に動く「微動型縫合トレーナー」(3万8880円)といった製品もある。

 ◆新ブランド立ち上げ

 もともとは、父親の駿寿(しゅんじゅ)氏が1978年に創業した金属加工プレスの町工場で、自動車や建築用の金属部品を手掛けていた。その後、ラジコンカーのスポンジタイヤ製造工場として国内随一となり、現在も売り上げの3、4割を占める稼ぎ頭だが、「リーマン・ショック後は何分の1というレベルで落ち込んだこともあり、ほかに何かないかという意識はずっと持っていた」(高山社長)。そこで出合ったのが腹腔鏡手術のトレーニング用品だった。

 現在は売り上げの2、3割程度だが、「今年はラジコンタイヤとほぼ肩を並べるかなと思っている」と期待をかける。自社ブランド「KOTOBUKI Medical Training Tools」も立ち上げた。高山社長の名刺には「エンジニアリングする町工場」の文字が印刷され、今年2月には埼玉県の渋沢栄一ビジネス大賞特別賞も受賞している。

 購入者はほとんどが現役の医師だが、「医学部の教育に取り入れられればと期待している。オリジナリティーの高いものが本当に医師の役に立つなら、市場は日本だけではないとも思っている」。“一点突破”で町工場は世界を視野に入れている。(鵜野光博)

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