トヨタ自動車は30日、交差点で対向車の有無などを無線通信により運転者に知らせるシステムを世界で初めて搭載した車種を発売すると発表した。国内の交通事故の約4割を占める交差点周辺の事故を減らす効果などが期待できる。第1弾の搭載車種を近く発売し、年内に3車種に展開する。
搭載するシステムは、道路に設置したセンサーと車両が無線通信で情報をやり取りする「ITS コネクト」。例えば、搭載車の運転者が特定の交差点で、右折時にほかの車両に隠れた対向車に気づかず発進しようとすると、メーターパネルに注意表示や警告音を出す仕組みだ。
赤信号の待ち時間の目安なども表示するほか、搭載車同士が加減速の情報をやり取りして円滑な自動追従走行も可能にするという。システム価格は数万円程度になる見込み。
通信には地上波アナログテレビ放送の電波を専用の周波数帯として活用し、通信範囲は「数百メートル」(開発担当者)。トヨタなどによると、ITSコネクトに対応した交差点は東京都と愛知県に計約20カ所あり、2016年3月末には50カ所まで増える予定。愛知県内では救急車など緊急車両約30台にもシステムを載せており、普及が進めば進行方向などをほかの車両に知らせて迅速な救急対応への活用も期待される。
ITSコネクトをめぐっては、昨年10月にトヨタやパナソニック、日立製作所など企業のほか、関係省庁が参加する官民の推進協議会を設立し、普及を目指している。