【講師のホンネ】学生の自己分析手伝う採用選考 熊谷智宏

2015.10.7 05:00

 ご存じの通り、今年(2016年卒)の新卒採用スケジュールの変更は、いくつかの課題を残した。その中でも、「オワハラ(就活終われハラスメント)」は、大きな社会問題となった。混乱の中で、内定辞退を警戒した企業が、学生に他社の選考辞退を強要したケースが、そのように呼ばれたのだ。

 どうすれば、これらの問題を防げるのか。「学生の自己分析を、積極的に手伝う」企業に成功例がある。 選考のプロセスにおいて、思考の整理を手伝った企業は、内定を辞退する学生が少なかったのだ。志望動機に対しての質問を繰り返し、曖昧な部分や矛盾点を指摘する。そのサイクルを繰り返す。本当に自社を志望しているのかを丁寧に確認する。時間を掛けた分、内定の段階で学生の気持ちも固まっている。あえて拘束する必要はないのだ。売り手市場になると、どうしてもこのプロセスが手薄になる。他社に優秀な人材をとられぬように、スピードを重視する。学生の気持ちが固まらないあいだに、内定を出すことになる。この流れが、残念ながら、「オワハラ」を生み出す本質といえる。

 2年目の今年。変化が起きている。現在開催されている17年卒向けインターンシップの選考だ。昨年は1回だった選考が、3~5回に増えている企業が多い。本選考に並ぶ力の入れようだ。採用担当者は、選考のプロセスで学生の自己分析を手伝っている。1回の面接も相当な時間を使っていると聞く。実際に、学生にとっては自己分析の機会となっている。次のような声を聞いた。「インターンを5社受けて全て落ちた。落ち込んだが、厳しい選考の中で自分の思考の浅さに気付けた(早稲田大学・女子)」「インターンなのに4次選考まであった。選考を受けながら、自分の本音やヤリタイコトが見えてきた(慶應義塾大学・男子)」

 就活を通して悩み、考え、納得の上で入社した人は、その後も頑張る可能性が高い。当然、入社後の離職率も下がる。学生も企業も、良い結果を手にすることができるのだ。17年卒の学生が本格的に動き始めている。社会全体で学生を育てながら、よりよい新卒採用を模索したい。

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【プロフィル】熊谷智宏

 くまがい・ともひろ 我究館館長。横浜国立大学を卒業後、リクルートに入社。2009年、ジャパンビジネスラボに参画。現在までに2800人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職や転職、キャリアチェンジの支援を行う。難関企業への就・転職やMBA留学、医学部編入など、幅広い領域で圧倒的な実績を出している。著書に「絶対内定2016」シリーズがある。

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