ドイツ・ウォルフスブルクにあるフォルクスワーゲン本社。一連の排ガス不正事件が経営を揺るがしている(ブルームバーグ)【拡大】
■【名門失墜 VW排ガス不正】(上)
「VWのディーゼル車の燃費の良さを示す確かな証拠だ」
今年7月上旬、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)米国法人のマイケル・ホーン最高経営責任者(CEO)は誇らしげに胸を張った。「ゴルフTDI」が、米国本土48州を走破して世界最高燃費記録を打ち立てたのだ。
わずか2カ月の栄光
ハワイとアラスカを除く1万3250キロで記録された平均燃費は、軽油1リットル当たり約34.5キロ。ギネス・ワールド・レコーズの認定員が見守るなかで達成され、ハイブリッド車(HV)以外で世界記録とされた。
だが、VWの栄光は2カ月あまりでついえた。
9月3日、米カリフォルニア州ロサンゼルスの州大気資源委員会(CARB)の研究施設のオフィス。CARBや米環境保護局(EPA)の担当者に、VW開発部門の幹部らは硬い表情でこう打ち明けた。
「ディーゼル車に違法ソフトを搭載していたことを認めます」