背景には、2兆2千億円にものぼる巨額の最低落札額と、世界経済や海外情勢などの外部環境に業績が影響を受けやすい空港運営で運営期間が40年超という厳しい条件を前に、入札の事前調査を通過した企業のほとんどが撤退した経緯がある。いまも経済界には「長期にわたって安定して事業を継続されるか未知数」との声は根強く残っている。
JR西と同様に空港に電車を乗り入れる南海電気鉄道も「慎重になるざるを得ない」という姿勢だった。ただ、多くの企業が「慎重に検討するが、出資しないという選択肢は考えづらい」(近鉄グループHD首脳)というのが本音だ。
メーカーなど空港運営が本業との相乗効果が薄い業種は「メリットはなくても関西の他の企業が出資するなら、応分のことはしないといけない」との立場で、横並び意識の参加をうかがわせる。
入札の事前審査を通過していた大和ハウス工業は応札を見送ったが、締め切り直前にSPCに出資する意向を示した。大野直竹社長は「関西で育てられた企業として地域に恩返しする意味がある」と説明した。