日本海からの強い風が吹く北海道北部の遠別町。環境ビジネスや食品事業を手掛けるエボルは、遠別町にあるサイトに小型風力発電施設の第1号を完成、今月から運用を開始する。道内各地をはじめ、東北地方の企業や自治体などに、この小型風力発電システムの採用を提案し、中核事業に育成していく考えだ。
◆蓄積技術を移管
エボルは道内各地で電気・通信、情報、環境、新エネルギーなど多様な業態で総合サービス事業を展開するサンエス電気通信(釧路市)が、グループの研究開発成果の事業化を促進するために設立した。
サンエス電気通信とエボルの社長を兼務する宮田昌利氏は「経済が低迷する時代を生き抜くには、社会環境に適応した進化(エボリューション)が求められる。エボルは、新しい価値観を先取りできる企業にしたいとの思いから命名した」と話す。
北海道の海沿いでは強い風をエネルギー源にした大型風力発電施設が多く設置されてきた。サンエス電気通信グループの企業も1990年頃から、環境エネルギーをキーワードに、マイクロガスタービンやバイオマス、風力、太陽光など再生可能エネルギーを研究開発してきた。サンエス電気本体も96年から風力発電施設であるウインドファーム事業に着手、関連する建設や土木の技術を培ってきた。
これまで蓄積してきた技術を2014年にエボルへ移管、サンエス電気通信グループ各社に分散していたエネルギーをはじめ新規事業を集約した。風力発電システムでは、風況解析を基にした土地選定から各種調査、許可申請、系統連係手続き、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)申請、設置、電気工事、修繕・保守、撤去まで全ての業務を請け負う体制を整えた。