精密小型モーター世界最大手の日本電産から、代表取締役副社長だった呉文精氏が9月末で去った。永守重信会長兼社長は「実績がもっと上がっていたら辞めていくことはなかった」と述べ、一時は最高執行責任者(COO)を任せた人材に未練はなかった。それどころか、経営陣を社外から引き抜いてきたことに「世の中にもっと良い人材がいると思ったのは錯覚だった」と認識を改めたことを示唆した。来年度は幹部を育成する社内施設「グローバル経営大学校」を開設する計画で、後継選びに影響しそうだ。(織田淳嗣)
戒め味わう
「自前の人材を育成しないで、よそから良い人を持ってきて業績を上げようという安易な気持ちを持ってはいけないという戒めを味わった」
10月21日、大阪市内で開かれた平成27年9月中間連結決算会見で、永守氏はこう語った。
呉氏について「けんか別れではない。新しい世界で成功してもらいたい」とエールを送る一方で、「うちの会社はシンプル。業績が良ければ地位、給料が上がる。そういう人が辞めることはない」と指摘した。