【航空機産業の旗手】(上)民間市場は今後20年で倍増

2015.11.20 05:00

川崎重工業航空宇宙カンパニープレジデントの石川主典常務

川崎重工業航空宇宙カンパニープレジデントの石川主典常務【拡大】

 □川崎重工業・石川主典常務インタビュー

 需要増で設備投資を拡大する各メーカーの航空機部品部門トップに今後の戦略などを聞いた。初回は川崎重工業航空宇宙カンパニープレジデントの石川主典常務。

 --航空宇宙事業が会社全体の4割の営業利益を稼ぎ出すなど好調だ

 「将来の4番バッターと期待されてきたが、円高で苦しい時代が続いていた。円安になり、ようやく利益を出せるようになった。苦しい時期に行ったカイゼン活動も寄与している」

 --民間航空機市場の見通しは

 「どの調査も民間航空機市場は年率5%で成長し、今後20年で倍増するとの予測は間違いない。当社で言えば、米ボーイングの『777』と『787』の胴体部分を製造しているが、受注が好調で生産が増えている」

 --競合相手は

 「胴体を製造している米スピリット・エアロシステムズやイタリアのアレーニアだ。当社は787の複合材技術で、優位性を維持している。最近では韓国のKAI、台湾のAIDC、マレーシアのCTRMも力を付けている。生産サポートや補用品(交換部品)の供給など付加価値を付けたサービスで、コスト競争力のある新興国勢に対抗していく」

 --生産面での強化策は

 「『777X』の工場では自動化比率を上げる。自社でロボットを製造しており、それを航空機の工場にも導入する。KAIやAIDCは政府支援で最新設備を入れている。われわれも生産性を高める努力をしなければ、すぐに追いつかれる」

 --海外勢との競争に勝ち抜くため、日本はメーカーを集約した方がよいとの見方もある

 「国内メーカーの航空機事業は大きな会社の一部門なので切り出しやすいかもしれない。ただ、今は各社とも利益を出せており、そういう段階ではない」

 --ライバルの三菱重工業がMRJを初飛行させた

 「リスクが大きく、大変な決断をされた。日本のメーカーは技術があり、生産能力も高いが、航空会社へのアフターサポートや販売、ファイナンスの経験はない。型式証明の取得や民間航空機の運用も初めて。日本の航空機産業にとっても大きな意義がある」(黄金崎元)

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