弁護士らでつくる第三者委員会報告書格付け委員会(久保利英明委員長)は26日、東芝の利益水増し問題を調査した第三者委(委員長・上田広一元東京高検検事長)が7月に提出した調査報告書の格付け結果を公表した。委員8人中3人が5段階評価で「不合格」に相当するFとした。格付け委の会見では「東芝のための“御用”報告書だ」など厳しい意見が出た。
F以外の評価はCが4人とDが1人。委員会としての総合評価は出していないが、Fを付けた委員の数は過去7回の格付けで、朝日新聞の慰安婦報道を検証する第三者委報告書の5人に次いで多い。
久保利委員長は、調査対象を東芝の決めた範囲に限定したことを指摘し、「当初から歴代3社長を辞めさせて幕を引こうというあらすじがあった。東芝のためだけに作成され、第三者委と言い難い」と批判。東芝が日本弁護士連合会の指針に準拠して設置したという第三者委の正当性を疑問視した。
また、委員からは報告書で“ウミ”を出し切れなかったことが、東芝再生の障害になっているとの意見が噴出。第三者委報告書を基にした旧経営陣の責任追及の甘さが批判されている。米原子力子会社の巨額減損を開示していなかった姿勢も厳しく問われており、この件で東芝は27日に会見を開き、室町正志社長が説明する予定だ。