食品メーカー大手の明治と帝京大学は、チョコレート摂取による腸内環境改善効果について共同研究を実施し、チョコレート原料のカカオ豆に含まれるタンパク質「カカオプロテイン」に便通改善効果があることを突き止めた。4日には都内でメディアや明治の取引先である流通関係者などを対象に、この研究成果の発表会が開かれた。
便秘は、男性で約160万人、女性で320万人に自覚症状があるとされ、下腹部の不快感や腹痛などを招くだけでなく、増加傾向にある大腸がんの原因にもなるといわれている。チョコレートの継続摂取で腸内環境が改善されれば、手軽な便秘予防法として注目されそうだ。
昨年実施した明治、愛知学院大学、愛知県蒲郡市の産学官連携による実証研究で、カカオ豆の「カカオポリフェノール」を多く含むチョコレートを継続摂取すると、血圧低下や善玉コレステロール値の上昇といった健康効果があることを証明した。
この実験結果の分析で、カカオポリフェノールが抗酸化成分として働き、動脈硬化のリスクを抑えたり、脳の神経細胞の活動を促進するBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やしたりすることも分かった。BDNFの増加は認知症予防につながると期待されている。
そして実験後に行った被験者へのアンケートで、十数人の被験者から「便通が改善した」という報告があったことが今回の共同研究の契機となった。
共同研究を行った帝京大学理工学部バイオサイエンス学科の古賀仁一郎准教授は、「すでにポリフェノールはさまざまな研究が進められており、ポリフェノールに便通を改善する働きがないことも分かっていた。そこでチョコレートに多く含まれる他の成分として『カカオプロテイン』に着目した」と話す。