□日本介護福祉グループ代表取締役・藤田英明
社会福祉法が2000年(介護保険法施行と同年)に制定されるまで半世紀にわたり、社会福祉事業法は社会福祉の基本法として、社会福祉分野の基礎的な構造を規定してきた。いま、社会福祉法人の改革が取り沙汰されているが、第二次世界大戦後の連合国軍総司令部(GHQ)との戦いのプロセスや、社会福祉法人誕生の背景、課された使命を無視または知らずして、改革を一律に近視眼的に進めてしまうことは、社会福祉の後退を招くことになりかねない。同時にGHQが形成した枠内にとどまっている社会福祉は、70年間にわたる戦後レジームから脱却しなければならない時期にきている。
日本の社会福祉施策は戦後、GHQによる「対日社会福祉政策」によって大枠が形成された。GHQは国家の責任を強調し、公私分離の原則を徹底し、民間の社会福祉事業については財政的援助を原則禁止したため、民間の社会福祉事業は大きく混乱した。GHQが「国家責任の原則」と「公金支出の禁止」を徹底する中で創意工夫を重ね、1951年、苦肉の策として社会福祉事業法を制定した。社会福祉法人制度が設けられ、社会福祉事業に対する公的補助の道が開かれることになったのである。
GHQの戦後改革は「無差別平等」「国家責任」「最低生活保障」を3原則とし、その後の日本の社会福祉制度全般に大きな影響を及ぼした。3原則にのっとりながら社会福祉政策を推進していくことで、生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法のいわゆる福祉三法を制定し、その基本法となる社会福祉事業法も51年に制定した。そのため、51年までを社会福祉における「戦後体制の確立期」ということができる。