そして3つ目が「社内における情報の共有力」だ。同社の伊藤英孝社長は、「製品に関する情報はもちろん、顧客からの質問やクレームに関しては、関わり合いがある社員、取引先すべてに情報を共有することを義務付けている。そうすることで業務の属人化の防止、スピーディな対応、風通しの良い社内環境の構築などを実現でき、それがすべて『顧客からわが社への信頼』につながっていく」と話す。同社では蓄積した情報やノウハウをデータベース化し、社内と社外の関係者の誰もが閲覧可能なウェブシステムも構築している。
中小企業診断士の國谷真アドバイザーは、日本ヒーター機器の場合、人的資産を組織資産化する仕組みや取り組みが非常に豊富だと指摘。「バランスシートに表れる物的資産とヒトや情報といったバランスシートに表れない知的資産による顧客価値提供のためのストーリーそのもので競合にまねできない、強固な経営スタイルを作り上げている」(國谷アドバイザー)と評価する。
東京都民銀行ではこの知的資産経営導入プロジェクトの取り組みをきっかけに、日本ヒーター機器に対して運転資金などの融資を実行。今後も知的資産経営支援を軸として経営サポートを継続していく予定だ。
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(編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp